INTERVIEW 17
獣医師 筑紫保健福祉環境事務所
食の安全を守り、
もしもの際も迅速に動く。
Profile
熊 みゆき 入庁4年目
高校卒業後、大学で獣医学を学ぶために地元福岡県を離れ北海道へ。
卒業後は化粧品メーカーに勤務した後、育児を機に帰郷し、令和2年度に入庁。
保健衛生課を経て現職。育児をしながら日々業務に励んでいる。
―仕事内容を教えてください
「食品衛生監視員」として県民の皆さんの安全・安心な食生活を支えています。
主な業務は3つあり、1つ目は飲食店や食品工場の営業許可に関する業務。
これは窓口業務だけでなく、現場に赴いて基準に合致しているかの確認も行います。
2つ目は、飲食店や工場に加え、保育所や学校、福祉施設、病院にある給食施設の監視・指導。
そして3つ目は、食中毒が発生した場合の被害拡大防止です。
筑紫保健福祉環境事務所は、大野城市をはじめ5つの市を管轄下に置き範囲が広いので、日頃から課内の皆さんと協力、連携しながら業務を進めることを意識しています。
―仕事で印象に残っていることはありますか?
以前、ある施設で食中毒が発生したことがありました。
そういった際は、発生元などの調査を行うのですが、その中で、施設で働いてある方はもちろん、電話で施設の利用者にも聴き取りを行いました。
時には夜になることもあり、「遅い時間に迷惑だろうな」と思っていましたが、「遅くまでおつかれさまです」「丁寧にありがとうございます」といった感謝と労いの言葉をかけていただきました。予想外の反応に驚くとともに、自分の仕事が理解され、安全・安心のために大事な仕事だと再認識ができて、とても嬉しかったことを覚えています。
―働きやすさを感じる点を教えてください
「仕事と育児を両立させてもらえている」という実感がありますね。
こどもの送り迎えにあわせて勤務時間を選択できますし、こどもを急に病院へ連れて行かないといけないときなどは、年次休暇のほかにも、子育て支援のための休暇制度もあります。
時間単位など短時間で休暇を取ることができるので、とても助かっています。
また、同僚の男性職員が1年の育児休業を取るというケースも見てきました。
制度が充実しているだけでなく、職場の皆さんが育児や介護に対する理解があることにも感謝しています。
―入庁前後でイメージのギャップを
感じるところはありますか?
女性の管理職が多いと、すごく感じています。
前職のころから「女性の活躍」「女性の社会進出」ということを耳にするたび、「女性が育児しながら働いて、キャリアを築いていくなんて、現実的ではないのではないか」と思っていたところ、現在の勤務地に配属されたときに「ここにいた!」と思いました。
その先輩方は、今のように女性の管理職の登用や育児休業などの制度が当たり前ではなかったころに、家庭と仕事を両立し、キャリアを築いてあり、さまざまなアドバイスをいただくことができます。
先輩方には感謝と尊敬の想いしかありません。
―福岡県の職員として実現・達成したことを教えてください
入庁して4年目の夏に、沖縄県で行われた全国の食品衛生監視員が参加する講習会に参加し、福岡県庁の代表として、研究発表を行いました。
私は、「給食施設の効果的な点検・監視を行うための課題分析」というテーマで取り組みました。
当日の発表は一人で行いましたが、職場の皆さんと協力しながら普段の業務を掘り下げ、課題点を整理し、最終的に業務へフィードバックすることで、とてもいい経験ができたと思います。
また、他県の発表から新たな視点に気づくことができて、とても刺激になりました。
―今後、取り組んでみたい仕事はありますか?
これまで生活衛生分野と食品衛生分野で、保健所の現場を経験してきました。
まだまだ知識も経験も不足しているとは思いますが、県全体を管轄する本庁での業務にも就いてみたいです。
県内には9つの保健所があり、本庁は保健所と国の橋渡しを行う業務なので、現場に対する理解とマネジメントスキル、そして円滑なコミュニケーションも必要になると思います。
新しいチャレンジではありますが、これまでの仕事を広く俯瞰することで視野が広がり、知識や経験も深まるはずです。
それを再び現場での仕事に活かすことができればいいな、と考えています。
新卒の方から民間企業の経験者まで立場はさまざまかと思いますが、入庁後は経験の有無に関わらず丁寧に仕事を教えてもらえます。
また、仕事と育児を両立している私自身の実感として、「誰にでも働きやすい環境が整っていますよ」とお伝えしたいです。