担当されたプロジェクトの概要を教えてください
近年、夏の異常な高温によって、お米の品質が低下することが懸念されています。ニュースでも、お米が白く濁ってしまう「白未熟粒(しろみじゅくりゅう)」の問題が取り上げられることがあります。そこで福岡県では、こうした異常な高温環境下でも高品質で安定して生産できる水稲品種の開発に取り組んでいます。消費者の皆さんに美味しいお米を届け、生産者の安定した収入にもつなげる、非常に重要なプロジェクトです。

近年、夏の異常な高温によって、お米の品質が低下することが懸念されています。ニュースでも、お米が白く濁ってしまう「白未熟粒(しろみじゅくりゅう)」の問題が取り上げられることがあります。そこで福岡県では、こうした異常な高温環境下でも高品質で安定して生産できる水稲品種の開発に取り組んでいます。消費者の皆さんに美味しいお米を届け、生産者の安定した収入にもつなげる、非常に重要なプロジェクトです。
私の所属する水稲育種チームでは、新しい品種を生み出すための「交配」から、実際に育てて良いものを選び抜く「選抜」までを行っています。その中で私は、高温に強く、病気にも負けない、そして美味しいお米ができる稲を選抜する業務を担当しています。試験場の田んぼでは毎年1000種類以上の稲を育てており、その中から、将来有望な一握りの系統を見つけ出すというのは、地道ですがスケールの大きな仕事です。

配属1年目に「高温でも品質が良い」と評価した稲が、翌年も猛暑に負けず、本当に綺麗な玄米を実らせた時は感動しました。近年の猛烈な暑さの中では、品質がどうなるか心配になることも多いのですが、収穫して自分の目で透き通るような綺麗な玄米を見た時、「これなら生産者や消費者の方に喜んでもらえる」と強く実感しました。未来の食卓を支える品種を自分の手で選抜できているという事実に、大きなやりがいと喜びを感じた瞬間でした。

泥だらけになりながら行う田植えや、夏の最も暑い時期に行う調査、そして収穫作業は、想像以上に体力が求められ、汗だくになりながら炎天下で作業を行っています。 私たちのチームは「一人で抱え込まない」ことをモットーに、作業が終わるたびに、上司や同僚と「もっとこうすれば効率が上がるんじゃないか」「この作業は分担しよう」といった改善点を話し合います。チーム全員で知恵を出し合い、次年度に向けて作業を効率化していくことで、大変な作業も乗り越えています。
福岡県は、「夢つくし」や「元気つくし」といったお米はもちろん、「あまおう」や「八女茶」など、全国に誇るブランド農産物がそろう“食の県”です。このプロジェクトに携わってあらためて感じたのは、それらのブランドを支える品種育成、生産、流通、それぞれの分野に高い技術力があることです。そして、各分野で専門知識を持った職員が連携し、活躍できる場があることこそが福岡県の本当の魅力だと感じています。

現在、私たちが試験場で育成している稲が審査され、優良な品種として認定されれば、いよいよ県内に広く普及していくことになります。ひとつの品種が開発されるまでには、約10年という長い歳月がかかります。今取り組んでいるものが、数年後には県民の皆さんの食卓に並び、「美味しいね」と言ってもらえることを楽しみに、日々の研究に取り組んでいます。
生産現場では、気候変動への対応が待ったなしの課題です。その解決を大きく前進させるのが、私たちの行う品種開発だと信じています。新しい品種を一日も早く開発し、生産現場に普及させることで、生産者の所得向上に貢献し、県民の皆さんに美味しいお米を安定してお届けする。その両方を実現できるよう、これからも頑張っていきたいです。